B型肝炎と訴訟問題を考える

はじめまして。 B型肝炎に感染し、これまでとてもつらく、苦しく、悲しい思いをされたことでしょう。ここでは一緒にB型肝炎と訴訟問題について考えていきたいと思います。ここでの知識が、あなたのお役に立ちますように。

弁護士

B型肝炎訴訟で委任を避けた方が無難な弁護士



弁護士と一言でいっても色々です。人間ですから性格も色々ですし、扱っている分野もさまざま。また能力的にもピンキリな上、ご相談者との相性の問題だってあります。

今回はそれらを踏まえた上で、弁護士選びにおいて、とりあえずこれらは外しておいた方が無難といえるものをピックアップしました。B型肝炎訴訟において、下記のような弁護士は外すように心がければ、少なくとも後日、大損害を被ったという事態に陥る可能性は減るはずです。

1 特殊な分野のみを扱う弁護士



特殊な分野というのは、一般社会から極端に乖離した分野のこと。たとえばですが、M&Aを専門にしている法律事務所に、B型肝炎訴訟の相談をしても断られる可能性は高いはずです。なぜならそもそも扱っている分野が異なるため。

このように普通は分野があまりにも異なると断られることが多いのが弁護士の業界。ただし、それとは別個に断られないけれども、おすすめできない特殊な分野を扱う弁護士もいます。

これはつまり、弁護士個人の行き方や信条が極端に反映されている法律事務所のことです。たとえば特定の政治思想や宗教の人たちだけを一生懸命擁護している弁護士は、国内にはごまんと存在しています。また、名刺を見てみると何かヘンな信条を述べていたりするところもあるでしょう。

こういうところでうっすらと違和感を感じたのであれば、そこではB型肝炎訴訟をすることはおすすめできません。なぜなら受任をした後、弁護士と政治思想の違いでもめたり、おかしな宗教をすすめられたりと面倒事に巻き込まれる可能性があるためです。

正直申し上げて弁護士業界はちょっと変わり者みたいな人が結構な数存在しています。変わり者に委任をした結果、必ずしもひどい目に遭うとは限りませんが、B型肝炎は被害者にとっては大きな問題。なるべく常識がある人に委任をした方が和解もスムーズに進むはずです。

2 文章や言葉がおかしな弁護士



文は人なりといいますが、文章や言葉はその弁護士、ひいては法律事務所そのものを表現しています。

弁護士事務所を選ぶ際、ホームページの見出しなどをよく読んでみましょう。その弁護士が本当に信用できる人間かどうかそれでわかることも往々にしてあります。

たとえば、国に対して「金をよこせ」と叫ぶ広告宣伝をしている弁護士もいるかもしれません。それはそれで間違っているわけではありません。しかし、「金をよこせ」という文言は、肝炎の患者さんの苦しい思いの補償であったり、今後の治療のための費用であることにまで思いを馳せず、ただ自分が金儲けしたいだけにしか見えません。

要するに人としての品性があまりにも欠けているのです。そして人としての品格に欠けた者に、B型肝炎訴訟という、患者さんの人生の岐路ともなりえる訴訟を任せることができるでしょうか。私が患者さんでしたら、きっぱりと断ります。

そして大きな声ではいえませんが、実はこういう弁護士は山ほど存在します。要注意です。

B型肝炎訴訟で信頼できる弁護士を選ぶには

B型肝炎訴訟を受け付けている弁護士事務所は数多く存在します。しかし、中にはいわゆる「売らんがな」商法の法律事務所もあるようです。

大手であっても大きな広告を数多く打てば、それなりに知名度も上がります。このため、「B型肝炎訴訟ならココ」と思い込んでしまっている感染者の方も少なくないようです。

ですが、そこが本当にB型肝炎に詳しい事務所か、感染者に親身に対応してくれる事務所かというとそこには疑問が残ります。

B型肝炎訴訟で弁護士事務所選びをする際、最初にご自分の感染の経緯や、症状、今の仕事や家庭環境などの状況、そして自分の感染状況について詳しく相談をしてみることです。

たとえばALT異常値などについてざっくり話をしてみましょう。本当に医療に詳しい弁護士事務所であれば、ALTのしきい値などについても経験の上で判断できるはずです。それで対応が芳しくなかったり、よくわかっていないような濁し方をされる場合、それはあまり信用の置けない弁護士事務所の可能性もあります。

また弁護士がちゃんと話を聞いてくれず、事務員ばかりが応答するような事務所も同様に避けた方が良いでしょう。

B型肝炎訴訟で人から紹介された法律事務所はお勧めできない

病院などでB型肝炎に感染した際「○○という弁護士事務所に相談をするように」といわれるケースが出てきているようです。

この理由は明白ではありませんが、医療訴訟によほど実績のある法律事務所や大手の弁護団でない限り、医師の知り合いの弁護士として口を利いている可能性が否定できません。つまり、病院や医師がB型肝炎の感染者を弁護士事務所に紹介するかわり、何らかの利益供与の可能性があるということです。

これらはけっして良いことではありません。医師から「B型肝炎に感染しています」といわれた以降、そこから先は弁護士の職分であり、医師が活躍する可能性は一つもありません。

また、もし病院や医師でない者からB型肝炎訴訟のための弁護士事務所の紹介を受けたのであれば、これは高い可能性で弁護士と裏でつながっている人間であるといえるでしょう。

人から紹介を受けることそのものはけっして悪いことではありません。ただ、B型肝炎訴訟を行う際には、まずその弁護士事務所の実績や能力をきっちりと推し量り、信頼できる事務所であるかを確認してから委任をした方が後々問題なく訴訟を行うことができるはずです。

こんなに違う! B型肝炎訴訟で弁護士を使う5つのメリット



B型肝炎訴訟を考えている方、いざ弁護士を選ぼうとしても何しろ初めてのことだから「何を基準に選べば良いかわからない!」となりがちではないでしょうか。

そこで今回はB型肝炎訴訟を行う際、こういう形で弁護士を選んだところ失敗してしまったという例を幾つか挙げてみます。

「B型肝炎訴訟を考えているけど、弁護士に頼もうかな。でも費用ももったいないし、う~ん……」と悩んでいる方も多数おられるようです。

B型肝炎訴訟は和解を成立するための民事裁判であり、法廷ドラマで喧々諤々(けんけんがくがく)言い争う、いわゆる刑事裁判とはまったく趣きが異なります。

「じゃあ訴訟は個人でやってもいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、結論から申し上げれば弁護士を通じた方が圧倒的にメリットの方が大きいです。

ここではB型肝炎訴訟で弁護士を使うメリットについて記載いたします。

B型肝炎訴訟で弁護士を使う5つのメリット

1 証拠集めの手間が格段にスムーズになる

2 訴訟までの手続きが圧倒的に楽

3 法廷まで顔を出す必要がほぼなくなる

4 国から弁護士費用の一部が負担される

5 急性肝炎や肝疾患が進行しても手続きが不要になる

1 証拠集めの手間が格段にスムーズになる



B型肝炎訴訟を行うには、感染者の方が「国の集団予防接種によってB型肝炎に感染した」証拠を示す必要があります。

しかし、この証拠集めを個人が行うのは実は容易ではありません。とくに母子感染などの場合、母親が集団予防接種に感染した事実と、訴訟を行いたいご本人の感染、そして親子の因果関係について、きちんと筋道を立てて説明する必要があるのです。

もちろん、証拠が簡単に揃う場合もありますが、なにしろ国が原因となるB型肝炎は半世紀近くも前から行われてきたものです。医療カルテ一つとっても、もう残っていないことも少なくありません。

弁護士であれば、万一医療カルテが揃わないとか、母子感染の証拠がなかなか見つからないといった場合でも、筋道を立てて説明ができるように図らうこともできるのです。

2 訴訟までの手続きが圧倒的に楽



一般の方にとって提訴はなかなか敷居が高いもの。一生に一回、あるかないかという方が大半でしょう。

この手続きを個人で行いたいという人は少なくありませんが、難解な用語や面倒な書簡のやりとりのため、まず大抵の人は途中で投げてしまいます。そうなるとせっかく苦労して作りかけた書類も、費やした時間もムダになってしまいます。

弁護士は訴訟の専門家です。一回委任をすればワンストップで処理してくれるのですから、委任するに越したことはないのです。

3 法廷まで顔を出す必要がほぼなくなる



法廷ドラマなどでおなじみの裁判所ですが、推理ドラマはまず刑事訴訟ばかりです。B型肝炎訴訟は民事訴訟であるため、あのような厳しいやりとりは存在しません。

とはいえ、法廷に顔を出して被告側とやり取りをするのは大変です。ましてや個人で訴訟を行えば、一度証拠が足りないなどといわれると、そこから紐付けされて延々と証拠集めを再開しなければならない可能性が生じます。

弁護士は訴訟のプロであると同時に裁判のプロです。裁判をしたけれど負けたということが続いては、仕事として成立しません。また、感染者の方の多くは病院に通ったり、無症候性キャリアであれば仕事に就いたりと忙しい日々のはず。裁判という煩雑な手間を弁護士に任せるのはごく一般的な考え方だといえます。

4 国から弁護士費用の一部が負担される



B型肝炎訴訟は国が弁護士費用の一部を負担します。この意味は「証拠集めや提訴のための手続き、裁判も含めて素人が手に負えるものではありません」ということを暗に述べているのです。

和解を目指した民事訴訟とはいえ、B型肝炎訴訟はやっぱり裁判です。役所で運転免許を見せれば、その場で印刷してくれる証明書とは重みが異なります。

B型肝炎訴訟を行っている弁護士事務所はそれぞれが手数料を定めています。あまり高すぎるところはお勧めできませんが、やはり裁判をするのですから、弁護士費用がもったいないとはあまり考えない方が良いでしょう。

5 急性肝炎や肝疾患が進行しても手続きが不要になる



非常に残念ながら現在の医療技術ではB型肝炎ウイルスを体内から完全に排除することは不可能です。

たとえ現在無症候性キャリアであっても、数割の人がある日突然急性肝炎や劇症肝炎を発症しています。

また慢性肝炎の方も定期的に診断を受けて治療を続けなければ、肝硬変や肝がんを発祥する可能性は否めません。

弁護士に委任してB型肝炎訴訟を一度行っておけば、万一急性肝炎や肝疾患のような事態に陥っても、弁護士はまたすぐに裁判を行うことができます。これは保険のようなものです。

体調が良いからとか、無症候性キャリアだからといって和解訴訟をやらないのではなく、保険として弁護士に委任しておけば、いざというときに安心できます。

おわりに



いかがでしょうか。B型肝炎訴訟で弁護士を使うメリットをいくつか記載してみました。実際のところ、国が弁護士費用を出すということは、B型肝炎訴訟で弁護士を使わないと非常に難しい裁判になりかねないということを暗に述べているのです。

訴訟を行うのであれば、必ず弁護士を使うように心がけましょう。

B型肝炎訴訟でありがちな弁護士選びの失敗例



B型肝炎訴訟を考えている方、いざ弁護士を選ぼうとしても何しろ初めてのことだから「何を基準に選べば良いかわからない!」となりがちではないでしょうか。

そこで今回はB型肝炎訴訟を行う際、こういう形で弁護士を選んだところ失敗してしまったという例を幾つか挙げてみます。

・有名な弁護士事務所



テレビでCMをバンバン流しているような有名な弁護士事務所があります。現在では過払い金の請求などを流しているところも多いですね。しかし、有名であることとその分野に関して能力が高いことはまったく別。

過払い金の請求は要するに借金問題の対策であり、B型肝炎のように病気や医療問題に強いわけではありません。弁護士にも専門の分野があります。単に知名度が高いからといって有名な弁護士を選ぶのは止めましょう。

・国外の弁護士



弁護士は外国人でも資格を取得することが可能です。でも、複数人の所属している弁護士事務所でない限り、外国人の弁護士の方はやっぱり自国の人の問題を取り扱うことが多いようです。また、複数人が所属している弁護士事務所の場合、「有名な弁護士」の項目でも扱ったように、その事務所は何を専門にしているかをしっかりと見極めましょう。

というのは、外国人の弁護士さんであれば、自国の法律や情勢にも当然精通しているわけです。となると、大体は国際法務や知財・特許、また国をまたいだ企業買収のような非常に専門的な分野を取り扱っている可能性もあるわけです。

当然これらはB型肝炎訴訟のような医療訴訟の和解とはまったく異なるもの。わざわざ電話をしても断れる可能性もあります。民事といえど、国内の問題の場合は日本の弁護士を使う方が安心感はあります。

・特殊な弁護士



あまりこういう言い方は好きではありませんが、非常に特殊なものばかりを取り扱う弁護士もいます。これはたとえば特殊な思想や宗教ばかりを扱ったり、歴史問題のような繊細な事例のみに特化している弁護士です。また、刑事事件でも多くの弁護士が尻込みをしてしまうような案件ばかりを扱う人もいます。

たとえばB型肝炎訴訟であれば、偏見や差別という視点ももちろんあるでしょう。でも、B型肝炎訴訟はあくまでも国を相手に補償を求める裁判です。相手を責めてその非を認めさせるようなものではありません。またそのような視点からの裁判は既にB型肝炎訴訟の原告団が最高裁まで争って勝訴を勝ち得ています。だからこそ、訴訟における和解補償が始まっているのです。

B型肝炎訴訟はあくまでも医療裁判であり、思想や考え方などとはあまり関係がないものであることは知っておきましょう。

・相談を時間による料金で引き受けている弁護士



多くの弁護士事務所で、B型肝炎訴訟の相談は無料となっています。また必要であれば何度電話をかけても一切費用はかかりません。

ただしB型肝炎訴訟を専門に扱っていない弁護士の場合、相談は時間によって料金が発生するところもあります。この場合、一般的には30分5000円程度。高ければ30分で1万5000円になるところもあると聞きます。

B型肝炎訴訟は、感染者一人ひとりによって状況が違う裁判です。このため、相談の時間も長くなることがあります。気づいたときには大変な料金になっていたということのないように、無料で相談ができる事務所を選ぶことが大切です。

・態度が横柄だったり、高飛車な弁護士



弁護士の中にはとんでもなく態度が横柄な人が結構な割合で存在します。少し口答えをすれば、上から目線で百も言い返してくるような人だったり、何があっても「いうことを聞きなさい」というような態度のところだったりする弁護士事務所です。

これではせっかくB型肝炎訴訟をしようと思っても、打ち合わせをするたびに気分が悪くなてしまいます。実際、B型肝炎訴訟の相談のために弁護士事務所に連絡をしたらすごく高飛車な言い方をされた挙句、電話をガチャ切りされたという話をよく耳にします。

別に謙虚でなくても良いですけれども、普通の対応をしてくれる弁護士を選ぶに越したことはありません。

・大手の弁護士事務所



もちろん大手だからといって悪いわけではありませんが、膨大な数の事務員を揃えている弁護士事務所も存在します。そのようなところでは事務員が、文字通り「事務作業」として、一から十まで全部事務処理を淡々とこなします。

当然、感染者一人ひとりの状況などほとんど考えてくれませんし、少しでも処理ができないと思うと「○○という資料をすぐに用意してください」とか、一番ひどいパターンでは「これでは訴訟はできません」というだけで相談が終わってしまうこともあるのです。

これでは役所の窓口を相手にしているのと変わりません。事務員ではなく、弁護士がきちんと話を聞いてくれる弁護士事務所を選びましょう。

最後に



いかがでしょうか。読んでいただくとお分かりなように、要するに弁護士はお医者さんと同じで「それぞれに専門がある」ということと「態度が悪い人もいる」ということが大きなネックなのです。

弁護士の仕事はあくまでもB型肝炎に感染した原告の方の代理として、原告の方をサポートすることにあります。知識もないのに態度だけ悪く、高い料金を取ってくる。このような弁護士にだけは当たらないようにくれぐれもご用心して下さい。