B型肝炎と訴訟問題を考える

はじめまして。 B型肝炎に感染し、これまでとてもつらく、苦しく、悲しい思いをされたことでしょう。ここでは一緒にB型肝炎と訴訟問題について考えていきたいと思います。ここでの知識が、あなたのお役に立ちますように。

肝硬変

B型肝炎訴訟と肝硬変の症状の軽重について

肝硬変の方がB型肝炎訴訟を行う際には



B型肝炎訴訟を行うにあたっては、医療問題でしっかりカルテが読める弁護士事務所を選ぶことをお勧めしています。

この理由の一つに肝硬変の給付が挙げられます。集団予防接種が原因でB型肝炎に感染した後、慢性肝炎などの肝疾患を放置して10年程度が経過すると肝硬変になるリスクが急激に高まります。

肝硬変の給付金は、

軽度の肝硬変 1250万円
重度の肝硬変 2500万円

と大きく金額が異なります。

実際は限りなく重症に近いにも関わらず、軽度と判断された場合、入院やその後の治療費にも困る可能性もあるわけです。

それにも関わらず、肝硬変の症状が軽症であるか重症であるかについて、医療問題を専門としていない弁護士ではなかなか判断がつきにくい面も考慮しなければなりません。

肝硬変の軽重の目安



一般的に肝硬変の軽重を判断する目安として、「Child‐Pugh分類」(チャイルド・ピュー分類)と呼ばれる手法を用います。チャイルド・ピュー分類とはチャイルドとピューという2人の医師が考えた肝硬変の判断基準であり、

・血清ビリルビン ・アルブミン ・腹水 ・肝性脳症 ・プロトロンビン時間

の5つによって判断されます。
この5つはChild重症度と呼ばれる点数によって判断されます。

医療問題や医療訴訟に強い弁護士であれば、この5つの診断とご相談者からのヒアリングによって概ねどの程度肝疾患が進行しているかについても判断することができます。数年前に医師によって軽度の肝硬変であるといわれたとしても、現状では重症になっている可能性も否定できません。

B型肝炎と肝硬変 ~肝硬変と合併症について~

肝硬変と合併症について

肝硬変(B型肝炎)に感染すると肝臓のみならず、種々の合併症を引き起こします。これは肝臓が様々な毒素を排除する機能を有していることが一因として挙げられます。また肝硬変は肝臓が小さく硬くなるため、肝臓に栄養を与えている血管に痛めてしまい、それによって合併症が起こることも少なくありません。

肝硬変の主な合併症



(1) 静脈瘤



肝硬変になると肝臓が岩のように硬くなります。すると腸から流れ込む血管(門脈)が狭められてしまうのです。その結果、食道や胃の周囲にコブができます。これを静脈瘤と呼びます。もし静脈瘤が破れてしまうと胃腸や食道にかなりの出血を引き起こします。その結果、口から血を吐いたり、肛門から血が出てくることになるのです。静脈瘤はときに深甚な症状を引き起こすため、注意が必要です。

静脈瘤の治療法



静脈瘤は胃カメラなどの診断によって早期に発見することができます。もし静脈瘤に破裂しそうな兆候が見られた場合、輪ゴムを用いて静脈瘤を閉じてしまうか、硬化剤を患部に注入して固めてしまうことで応急処置とすることが可能です。ただし、一度静脈瘤が発生した場合、他の箇所にも静脈瘤ができる可能もあるため、定期的な診断を忘れてはなりません。

(2) 肝性脳症



人体は体内の不要な排泄物としてアンモニアを作ります。これは上記に述べた門脈を通じて肝臓で処理されます。肝臓は種々の解毒作用を備えており、健康な状態ならばアンモニアは肝臓でろ過されるのです。しかし肝硬変によって肝機能が著しく衰えるとアンモニアなどの不要な老廃物がそのまま流れ込んでしまいます。その結果、脳の働きが衰えてしまうのです。これを肝性脳症と呼びます。

肝性脳症は症状の程度によって1~5段階に分かれています。

・1度の場合は昼夜逆転。早期の検査などで発見されることが多い。
・2度の場合は判断力の低下。
・3度の場合は錯乱・混迷などの顕著な症状
・4度や5度になると意識不明になります。

肝性脳症の治療法



肝性脳症を治療するには内服薬によって血管の中のアンモニア濃度を下げる必要があります。また同時にアンモニアを生成する原因となる腸内細菌を抗生物質で死滅させることも不可欠です。

(3) 腹水



腹水は血中アルブミン値の低下が原因です。初期の段階では下腹部が張る程度に過ぎませんが、症状が進行すると腹部全体が膨満し、命に関わる可能性も出てきます。

腹水の治療法



腹水の治療はアルブミン値の低下の原因となる塩分の摂取を減らすことから始めます。また利尿によって体内の水分を多く排出します。加えて低下したアルブミンを点滴によって投与し、身体を元に戻してゆく流れとなります。

B型肝炎と肝硬変 ~肝硬変の診断と治療~

肝硬変の診断と治療

血液検査等で肝硬変の可能性が指摘された場合、画像による診断を併せて行います。

画像診断は以下の通りです。

(1)腹腔鏡
 腹腔鏡は腹部に小さな穴を開け、そこにカメラ等を入れて肉眼で直接肝臓を診断します。肝硬変になると肝臓が小さく、岩のようにゴツゴツとした見た目になるため、肉眼による診断によってより詳細な進行を把握することができます。

(2)肝生検  肝臓の一部を針で採取し、細胞を分析することで肝硬変の可否や進行を診断することができます。

 上記2点に併せて、肝硬変の診断では腹部超音波検査とCTスキャンも行います。これらは腹水や脾臓腫などを診断することが可能です。

肝硬変の治療



肝硬変は薬によって完全に治療することは困難です。ただし、B型肝炎の場合、ウイルスが肝臓を壊しているため、抗ウイルス薬であるエンテカビルやラミブジンを投与することで機能が改善する可能性があるとされています。これらによっても治療がなかなか改善しない場合には肝移植を行う可能性もあります。

B型肝炎と肝硬変 ~肝硬変と血液検査について~

肝硬変と血液検査について

肝硬変の診察では、血液検査が最も一般的なものとなります。
血液検査を行うことによって肝硬変の進行がどの程度か知ることができ、ひいては肝炎の治療方針においても大きな決定要因となることが少なくありません。

血液検査では主に、

1)アルブミン値
2)血小板
3)コリンエステラーゼ
4)プロトロンビン時間
5)アンモニア
6)ビリルビン

などを調べることになります。

これらの数値によって肝臓の機能を知ることができますが、検査で知ることができるのは、
・(肝硬変によって)肝臓がどの程度破壊されているか
・肝臓の合成機能
・肝臓の活動程度
・胆汁の程度
・代謝機能や脳への影響

となります。

(1)のアルブミン値は、肝臓内で作られるタンパク質を示します。このアルブミン値が基準値以下になると肝硬変の可能性が高いと診断されます。

(2)の血小板は、出血の際に流血を止める働きをします。これもアルブミン値と同様、基準値以下になると肝硬変の可能性が高いと診断されます。

(3)のコリンエステラーゼもアルブミン値や血小板と同様の判断基準となります。

(4)のプロトロンビン時間とは、出血において血液がどの程度の時間で凝固するかを示す数値のことです。(2)の血小板と同様、肝硬変では血が固まる時間が遅くなるため、この値が延びるようになります。

(5)のアンモニアは肝臓の解毒作用の低下の度合いを知るものです。肝硬変になると肝臓の能力が低下するため、血中にアンモニアが増加するためです。

(6)のビリルビンは、黄疸の程度を知る指数です。

B型肝炎と肝硬変 ~肝硬変の症状~

肝硬変の症状

肝炎ウイルスによって肝硬変にかかると以下のような症状が生じることがあります。

1)くも状血管腫

 くも状血管腫は1~3ミリ程度の発疹ができ、それがくもの巣のように広がっている様子が肉眼で確認できるものです。おおむね、首や前胸部、頬などにできることが多いとされています。

2)手掌紅班

 手掌紅班は親指のつけ根にあるぷっくりとふくらんだ部分や、小指のつけ根のふくらみが、赤くまだらになった状態を示します。これらは肝機能障害によって血液中のエストロゲンが上昇したために生じるものです。

3)腹水

 肝硬変では顕著な症状で、お腹、とくに下腹部が膨満するものです。腹水自体は様々な原因によって生じます。このため、腹水が生じたからといって必ずしも肝硬変であるとは限りません。B型肝炎による腹水の場合はアルブミンの合成機能の低下等によって生じるものと考えられています。

4)黄疸

 黄疸は腹水と並んで顕著な肝機能障害のひとつです。黄疸はビリルビンと呼ばれる血中ヘモグロビンから作られますが、肝機能が衰えるとビリルビンが血液中に増加します。この結果、白目が黄色くなるといった黄疸の症状が出てくるのです。

5)羽ばたき振戦

 肝機能障害によって腕を伸ばしたり、広げたりした際に腕がゆっくりと不規則に動く症状です。間性脳症の初期に見られるものであり、ときに腎不全などを起こしている可能性もあります。

6)女性化乳房

 女性ホルモンは男女ともに体内に存在します。しかし肝機能の低下により、女性ホルモンが強くなり、結果的に男性であっても乳房が大きくなることがあります。

7)睾丸萎縮

 女性化乳房と同様、女性ホルモンの活性化のため、男性の睾丸が小さくなるものです。