B型肝炎と訴訟問題を考える

はじめまして。 B型肝炎に感染し、これまでとてもつらく、苦しく、悲しい思いをされたことでしょう。ここでは一緒にB型肝炎と訴訟問題について考えていきたいと思います。ここでの知識が、あなたのお役に立ちますように。

肝がん

B型肝炎の肝がんについては心配しない。予防する。



B型肝炎訴訟の患者さんの中には「自分がいつ肝がんになるか心配で」と憂うつに思っている方がいらっしゃいます。

確かにB型肝炎は、肝臓の線維化の程度が低くても肝細胞がんを発症する可能性はあります。でも、それはいちいち悩んでいてもしょうがないことです。

B型肝炎ウイルスの感染に関わらず、今の時代、2人に一人はがんにかかります。しかし、がんにかからずにピンピンしている人もいますし、がんにかかっても治療を受けて今や60代後半だったり、70代になっている人もたくさんいるのです。

もちろん、だからといって肝臓をいたわることなく、治療を怠ったり、お酒をがぶ飲みしたり、はたまたたばこを吸ったりと、不摂生な生活を送れば、肝がんにかかる可能性はどんどん高くなってしまうでしょう。

肝がんにかんしては自分でできるかぎりの予防をする。定期的な検査を受ける。あとはもう心配しないことです。


B型肝炎と肝がん ~肝がんの予後・治療後について~

肝がんの予後・治療後について


B型肝炎による肝がんのほとんどは肝硬変を併発って併発しています。このため、治療後においても肝がんのがん細胞のみならず、肝硬変の予後にも注意が必要です。

とくに肝炎ウイルスによって肝がんが生じた場合、がんを治療した後もウイルスが体内に残っている限り、再発する可能性があります。割合的には概ね2割程度ですが、この経過にもしっかりと目を向ける必要があるのです。場合によってはインターフェロン・化学療法による全身治療などを含めて、適切な予防を行うことも求められます。

B型肝炎と肝がん ~肝がんの治療~

肝がんの治療


ウイルス感染によって肝がんに進行している場合の多くは、肝がんとともに前段階として肝硬変にかかっていることがほとんどです。このため、肝がんの症状は、肝がんと肝硬変が合併しています。

B型肝炎ウイルスに感染した場合の肝がんの治療法としては、主に、

 1)切除
 2)塞栓術
 3)化学療法

 となります。

 (1)の切除は、まず肝予備能について調べます。肝予備能とは「肝障害度」や「Child-Pugh分類」といった基準を用いて、肝臓の機能がどの程度保たれているかを知ることです。肝予備能が十分であると判断された場合、ラジオ波焼灼術などを利用して局所を外科切除します。

 (2)の塞栓術はまずカテーテルを用いて血管造影を行います。この目的はウイルスによって生じた肝がんの腫瘍にどの血管が栄養を送っているかを知るためです。血管が判明した場合、次にその栄養血管に抗がん剤と塞栓剤を送り、がん細胞を壊します。比較的幅ひろい症状に対応できる治療法ですが、上記と同じように肝予備能が低い場合には利用できません。

 (3)の化学療法は、血管に抗がん剤を流し込んでB型肝炎ウイルスによって生じた腫瘍を壊死させるか、もしくは内服薬などを投与して全身に抗がん剤を生きわたらせるかのいずれかとなります。

 上記の他、肝移植を行うこともあります。生体肝移植を行う場合、ドナーとしては親族が望ましいとされています。

B型肝炎と肝がん ~肝がんの検診と診断~

ウイルスによる肝がんの割合


国内での肝がん患者は約9割がB型およびC型の肝炎によるものです。B型肝炎はそのうちの約2割前後。各都道府県ごとにばらつきがあるものの、患者の割合に大きな変化はないようです。

肝がんの検診と診断


肝がんの診断には主に、

 1)腫瘍マーカー
 2)超音波検査
 3)CTスキャン
 4)MRI
 5)血管造影

 などを用います。

 (1)の腫瘍マーカーはB型肝炎のがんの進行によって増加する因子に対して、抗体を用いることで検査することです。これらの検診は定期的な測定を必要とする上、あくまでも簡易な方法であるため、他の検査を併用することもあります。

 (2)の超音波検査はB型肝炎により、がんが生じた可能性を調べるため、高い周波数の超音波を腹部に当てます。それによるエコーによってがんの有無を調べます。超音波検査はレントゲンなどX線を用いる検査とは異なるため、たとえば妊婦などの場合でも安心して検査を受けることが可能です。なお、ウイルスによる慢性肝炎患者の場合は半年に一度、肝硬変では三ヶ月に一回程度は検査を受けることが望まれます。

 (3)のCTスキャンは、放射線を利用することでがんが生じる可能性のある場所を調べます。CTスキャンは断層撮影とも呼ばれ、腹部を輪切りにするかたちで肝がんを調べることができる上、近年のコンピュータグラフィックス能力の向上によって、その進行の程度を明確に調べることができるようになってきています。ただし、造影剤などを必要とするため、腎臓などの機能が低下している肝炎ウイルスの感染者はCTスキャンの利用を控える必要があります。

 (4)のMRIは磁気の複雑な特性を利用して肝がんの診察をする方法です。CTでは得られにくい情報もMRIでは測定することができますが、磁気という特性上、たとえば骨折などで身体に金属が入っている場合、MRIの利用はできません。

 (5)の血管造影は入院が必要になります。足の付根の部分からカテーテルを入れ、肝動脈を通じて造影剤を注入します。