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■B型肝炎治療では医師に治療方法のメリット・デメリットを聞いておく

今でこそインフォームド・コンセントの普及により、患者さんに対して医師はしっかりと治療方針を説明するようになりましたが、昔はそのあたりが実に適当でした。医師は「俺が決めた治療方針だ」とばかりに勝手に治療方法を定め、ろくに説明がなかったのです。また患者さんの側もあまり根ほり葉ほり医師に質問をすると、医師の心象を悪くするのではないかといった懸念があり、あまり強く訊ねることができなかったようです。

ごくごくまれにですが、B型肝炎で悩んでいる患者さんの中にも、医師からこういう指示を受けたと述べられることがあります。

たとえばバラクルード錠です。妊娠・出産を考えておられる女性はバラクルード錠を飲むことは、他の治療の後になります。エンテカビルの副作用により、バラクルードを服用する女性は妊娠・出産ができなくなるためです。このため、たとえば女性の治療に際してはペガシスによるインターフェロンなどが順序としては先になると思われます。

ところが、いきなり医師からバラクルードを飲むようにといわれた方の中には、どうも医師からちゃんと説明を受けていなかった人もいるようです。もしかしたらB型肝炎に感染した相談者ご自身が、医師からの説明を聞き流していかもしれませんが、しかし、これはどうにも危ない話です。

先にインターフェロンを例に挙げましたが、インターフェロン治療も倦怠感や脱毛など、やはり大きな副作用は免れません。

B型肝炎訴訟を考えている方は、同時に治療も受ける必要があります。そのときには、医師からの説明をしっかりと聞き、またメリット・デメリットなどもよく聞いておくほうが良いかと存じます。



■B型肝炎の差別と偏見を生み出す人々

B型肝炎訴訟は非常に専門的な知識が必要になる裁判です。そのため、肝炎訴訟には興味があるけれど、自分の状態が不明なために今一歩訴訟までの踏ん切りがつかないという方もたくさんおられるようです。

漠然とした印象で恐縮ですが、B型肝炎に感染した方は2種類にわかれます。一つは自分の症状をお医者さんから教えてもらった限り、しっかりと自分で調べている方。バラクルードやペガシスの副作用などについてもきっちりと把握していたり、どういう方法で治療を受けるべきか考えている方。そしてもう一方は、自分の病気がどうやらB型肝炎だという程度で放置を決め込んでいる方。

B型肝炎にも色々な感染経路がありますが、訴訟を考えている方は圧倒的に前者が多いです。そして前者と後者の方はまるで人間性が違うことが多いのです。

集団予防接種や母子感染が原因でB型肝炎にかかった方は、人よりも苦しい思いをしています。だから非常に礼儀正しく、まじめで思いやりがあり、とても好感を持てる方が多いです。

逆に後者の方は、言い方は悪いのですが「海外に行ったら病気にかかった。肝炎っていわれたけど、これで訴えればお金もらえるんでしょ」のような人が少なくありません。

B型肝炎感染者にも色々な人がいます。そして性病などで肝炎に感染した人たちは、集団予防接種で肝炎になったり、母子感染で生まれながらに肝炎に感染したりした、本当に性格の良い方々から、どうやらとてもいやな顔をされている感じを受けます。こういう人たちがいるから、B型肝炎の差別と偏見が生まれるからです。

でも、だからといって声高に「B型肝炎の差別と偏見をやめろ」と大騒ぎするのはできれば避けたいところ。感染者の方々はなるべくご自身の病気を社会に知られたくないという思いもよくわかります。