「やたいき」と読みます。ごろも悪く、ぱっと見ても意味もよくわかりません。

也太奇とは「なんとも奇妙な」という意味です。

奇妙なこととは、予測ができないこと。いつも通りではないことです。空から魚が降ったり、地面がみんなおかしに変わったりすればなんとも奇妙なことでしょう。

B型肝炎に感染したことを知れば、みんな、おどろきや衝撃を受けます。また母子感染によって生まれたときからB型肝炎に感染しているのであれば、自分は人とは違ったリスクを負っているのだという気持ちが心のどこかにあるはずです。

もし、B型肝炎に感染した後、肝疾患の進行によって慢性肝炎や肝がんなどを発症してしまったら「どうして自分だけがこんな目に」とすら思う人もいることでしょう。

でも、そういう暗い気持ちになったとき、一度立ち止まってみてください。目を閉じて耳を澄ませてみましょう。小鳥のさえずりや、虫の鳴き声、風の音が聞こえないでしょうか。

B型肝炎に感染して暗い気持ちになったとき、そういう美しい音があることに気づいていたでしょうか。ここで述べられた言葉を実行して、初めて自分のこころの内に、それらの音が、さん然と立ち上がってきたのではないでしょうか。

私たちを取り巻くこの世界は「也太奇」です。良いも、悪いもなく、ただただ、不条理で理解できないものなのです。

B型肝炎は確かにつらいものです。でも、肝炎に感染したからこそ、社会の厳しさを知り、人の優しさを知り、医学の発展を知ることができたのも、また間違いありません。

世界は「也太奇」です。肝炎に感染せず、恋人と楽しくデートをしていたら、その最中に大事故に巻き込まれたかもしれません。ギャンブルにはまって借金まみれの生活になっていたかもしれません。

也太奇である、不条理であることに良いも悪いもありません。ただただ、今の現状を「ああ、そうなんだ」と受け入れ、被害が解決するように、定期的に診断を受けたり、訴訟をすることを大事にしましょう。