B型肝炎に感染しているからといって、誰もが誰も、自分がどのような経路で感染したのかわかるわけではありません。たとえばごく一般的な普通の生活をしているにも関わらず、ある日突然具合が悪くなり、病院に搬送されたところ肝炎が発覚したという人もたくさんいます。

B型肝炎訴訟とは、国の集団予防接種か、もしくはそれが原因での母子感染・父子感染の方への和解訴訟です。しかし、中にはご自身の感染原因がよくわからないという方もおられます。

このような方は急性肝炎と慢性肝炎を勘違いしていたりすることが往々にしてあります。集団予防接種や母子感染が原因でのB型肝炎感染者の方は、出生直後や小児期にB型肝炎ウイルスに感染したため、体内に免疫ができておらず、肝臓と免疫が共存する関係になっています。

対して成人後に肝炎ウイルスに感染した方は、肝炎ウイルスが肝臓を侵食しようとした場合、免疫が働くために一時的に体調が悪化します。いわゆる急性肝炎です。ただ、免疫がしっかりと働いた結果、一時的に具合が悪くなっても、後日体内からウイルスは完全に排除されるため、以降はウイルスが原因で肝臓が悪化する可能性は非常に低いものとなります。

ただし、上記以外に平成8年以降に確認されたジェノタイプAeと呼ばれる肝炎ウイルスの場合、成人後にウイルスに感染しても免疫がしっかりと機能しない可能性があることが確認されました。ジェノタイプAeのウイルスに感染すると、概ね1割前後の感染者がその後、持続感染することが確認されています。いわゆる慢性肝炎となってしまうのです。

このジェノタイプAeによる感染は、国による集団予防接種や母子感染で肝炎ウイルスに感染した方とは時期的に合致しません。このため、もしご自身のウイルスの感染経路がいまいち判断できない場合にはまずは肝炎検査を受けることをおすすめします。これにより、ご自身の数値・症状はもとより、ウイルスのジェノタイプも判断することが可能となります。