B型肝炎と訴訟問題を考える

はじめまして。 B型肝炎に感染し、これまでとてもつらく、苦しく、悲しい思いをされたことでしょう。ここでは一緒にB型肝炎と訴訟問題について考えていきたいと思います。ここでの知識が、あなたのお役に立ちますように。

2019年08月

弁護士への誤解でB型肝炎訴訟を行えない人も

弁護士法が肝炎感染者の個人情報を守る



B型肝炎に感染したかどうかについては、健康診断や保健所での検査、病院の診察などで判断することができます。しかし、集団予防接種によってB型肝炎に感染していると判明しているにも関わらず、訴訟を行えない人が世の中にはたくさんいるようです。

その原因の一つに世間体があります。B型肝炎は集団予防接種が原因であっても、社会的には性病や覚せい剤などの注射器の使い回しの結果と思われがち。感染者である当人もそれを自覚して、自分が肝炎であることを世間にいえないということから訴訟に踏み切れないようなのです。

また、これは家族の問題にもなります。家族が訴訟を強く反対するあまり、肝炎訴訟を行えないという人も現実に存在します。これも上記と同じように根強い偏見が社会に蔓延しているためです。

しかし、ここには一つ大きな誤解があります。肝炎訴訟を行う場合、弁護士費用の一部が国から出るため、まずほとんどの人が法律事務所に相談をするはずです。その過程において原告側の氏名や顔などが世間に発表されるのではという思いがあるようなのです。

テレビでは「○○弁護団」というようなかたちで、よく原告がコメントをしているシーンを見かけます。しかし、そもそも裁判を行うにあたって原告の氏名や顔がマスメディアにさらされることはありません。また、弁護士に相談をする際、弁護士側には弁護士法によって守秘義務が発生します。これを破れば当然弁護士も処罰の対象になるわけですし、そもそも原告の情報を社会に漏洩させて良いことなど弁護士にも裁判所にも一つもメリットが存在しないのです。

結論からいえば、B型肝炎訴訟を行う際、原告である感染者の情報は漏洩しません。また、何よりも大事なこととして肝疾患が進行している感染者であればもちろん、無症候性キャリアの方であっても、いつ急性肝炎が発生するかはわからないのです。加えて子どもの出産を考えれば、必ず治療は必要になります。

医療過誤の現実とB型肝炎訴訟

医療過誤の訴訟は難易度が高い



医療過誤は数ある訴訟の中でも際立って難易度の高いものです。これは医療という特殊かつ専門性の高い分野で「過失」の定義を作り、それを立証するという複雑な作業が求められることが理由として挙げられます。

医療過誤の訴訟は現在、一年間に約700~800件程度となります。しかし、現実には泣き寝入りをせざるを得なかった遺族は多数に上るでしょう。また泣き寝入り以前に、それがそもそも医療過誤であるとわからず、闇に埋もれてしまったケースの方が圧倒的に多いことも予想されます。

たとえば、もし医療事故によって家族を失った場合、遺族が不審な点を感じて医師に問いただしたとしても、医師は専門的な言葉で事態をすぐにうやむやにしてしてくれるのはしまう可能性だってあります。

要するに医療における事故は氷山の一角であり、そのうちのほんの一部が訴訟にまで至っているだけなのです。

医療過誤で相談をしても断る弁護士も多い



そもそも医師にとっても過失を認めることは病院の信頼を大きく毀損することにつながりかねません。そのため、医師側も弁護士を立ててお互いに過失の定義を主張しあうことから始まるのです。

このように高度で難易度の高い医療過誤の訴訟。勝訴に至る確率も極めて低いのが現状です。実際の勝訴率は約2前後といわれています。これは先の述べたように専門的な知識に加えて、過失の定義において双方の主張が食い違いやすいためです。

一口に弁護士事務所といっても、それぞれに分野があります。企業法務を専門とする弁護士、不動産登記が得意な弁護士、刑事事件を得意とする弁護士などさまざまです。このため、医療過誤事件として手近な弁護士事務所に相談をしても、医療に詳しい弁護士でない場合、知識が不足しているために断られてしまうケースも往々にしてあるのです。

B型肝炎訴訟と医療過誤



B型肝炎訴訟は医療過誤の範疇に入ります。しかし既に最高裁によって判例が出ており、国側も特別措置法を発表しているため、救済のためのスキームが整ってはいるのです。

この結果、医療過誤を取り扱ったことのない弁護士事務所でも、必要な手続きを踏みさえすれば肝炎訴訟を行うことが可能です。要するに医療過誤の中ではハードルがさほど高くない訴訟だともいえます。

ただし、これはあくまでも国側が提示した手順に則った措置に限られます。肝炎訴訟においてはカルテが見つからないとか、母子感染であるにも関わらず、母親が既に死亡しているために立証する方法が見つからないというケースもよくあります。

この場合、医療過誤を専門にしていない弁護士では、どこで情報を集めれば良いのかお手上げといった事態になりかねません。もっと問題になるのは、委任をした後に証拠集めで行き詰まり、弁護士側と「なんでこんなことになった」と泥沼の争いになってしまうことです。弁護士はこのような場合には強硬な態度に出る可能性もあります。医療過誤である肝炎訴訟を行うのが目的だったのに、いつの間にか担当の弁護士と言い争いになってしまう。これでは本末転倒の事態になりかねません。

またもう一つの問題は、医療過誤訴訟はとかく時間がかかるものなのです。それにも関わらず、大々的に広告を打って大量に人を集める弁護士事務所の場合、原告側の肝疾患の進行と実際の訴訟との間に食い違いが生じてしまう可能性も否めません。

B型肝炎訴訟を行うのであれば、必ず医療過誤を扱ったり、医療問題に詳しい弁護士に相談をすることが大切なのです。

弁護士の腕が悪いとB型肝炎訴訟ができないケースも

現在、国内でB型肝炎に感染している人は、300万人以上ではないかと推定されています。その中で集団予防接種やその二次被害の母子感染で、肝炎ウイルスに感染している人の数はおおよそ40万人程度といわれています。ただし、これはあくまでも国側の発表であり、実際の被害者の数は推定よりもずっと多いことでしょう。

現在、B型肝炎訴訟がある程度、社会に取りざたされるようになってきて、少しずつこの訴訟の問題点も指摘されてきています。

集団予防接種によるB型肝炎の感染は、1948年~1988年までの間、満6歳以下で集団予防接種を受けた人が対象です。しかし、そこから漏れた人も世の中には存在するはずです。国側はあくまでも統計による発表と原則に則った和解しかしません。

この訴訟で何が一番の問題点となるのか。それは予防接種の時期があまりにも昔であるためです。国側は集団予防接種による一次感染であれば、証拠として感染者のカルテの提出を求めます。二次感染であれば母子健康手帳の提出が必要です。

しかし、1948年といえばもう半世紀以上前。病院に提出を求めてもカルテが処分されていたり、紛失してしまっているケースも往々にして存在します。母子健康手帳に関しても、どこにいってしまったのかわからないという人もたくさんいます。

本来であれば国に倍賞を求めて訴訟できる人が証拠がないために訴えることができない。そういう現状が今存在しているのです。しかも、B型肝炎は放置しておけば肝疾患がどんどん進行してゆきます。手弁当で肝移植ができる人など世の中にはほとんど存在しません。また肝硬変や肝がんになっても、証拠がないために訴えることができず、国から無視されている人も国内にはたくさんいるのです。

肝炎訴訟において一番大切なことは証拠をきちんと提示すること。そしてその証拠の提示のために何を、どこで集めれば良いのかをアドバイスしてくれるのは、腕の良い弁護士である必要があります。

腕の悪い弁護士であれば、資料集めに関しても「証拠が出せないなら無理ですね」の一言で終わってしまいます。また、いざ裁判になった際にもきちんとした弁護ができるかどうかも少々疑問に感じてしまいます。

肝炎で苦しんでいるのに原告にすらなれない。また頑張って証拠を提出しても弁護士の腕が悪いと不手際によって敗訴してしまう確率もある。

国は何をもって国側の責任となるのか、所在が明確にしない限りは一切の責任を負いたがりません。

B型肝炎訴訟を行う際にはなるべく医療問題に強い弁護士に委任するようにしましょう。

B型肝炎訴訟と給付金の税率について

肝炎訴訟では給付金の最大額は3600万円であり、一般的に高額であるといえます。このため、給付金に関する税金について相談を受けることもあります。

給付金に関して税金はかかりません。これらは非課税となります。また現在、相続税の基準が大幅に見直され、基礎控除額が以前の資産の6割から相続税が発生する上、申告も必要になっています。しかし給付金はあくまでも相続財産にはならないため、この点も非課税として扱われます。

結論としまして給付金はすべての面で税金がかかりません。この点についてのご心配は不要です。

B型肝炎訴訟の給付金申請について

B型肝炎訴訟で給付金を申請するためには、まず国に対して訴訟を行う必要があります。この訴訟のためにはどのような手続きをしなければならないのか。ここではそれについて記載します。

給付金申請のための目的と手順



給付金を申請することの目的は、国と和解することでB型肝炎感染者として、給付金の対象者であると認定されることにあります。そしてそのためには、国側は、感染者が給付金の対象となる要件を満たしているかを確認しなければなりません。この確認作業に必要な証拠資料が病院から提出されるカルテなどとなるのです。

このため、弁護士側は訴訟を行う前に感染者(ご相談者)から綿密な聞き取り調査を行い、どのような証拠を集めなければならないかを組み立てることになるのです。その後の提訴によって、これらの証拠が揃っていることを国側も確認します。それにより和解が成立します。

給付金受給までの手続き



和解が成立すると、弁護士は給付金受給のための書類を作成します。ただし、給付金は国(厚生労働省)などの公的機関から支払われるものではありません。弁護士は社会保険診療報酬支払基金という国から委託を受けた民間機関に請求書類を送付し、その後、給付金が支払われることになるのです。