B型肝炎と訴訟問題を考える

はじめまして。 B型肝炎に感染し、これまでとてもつらく、苦しく、悲しい思いをされたことでしょう。ここでは一緒にB型肝炎と訴訟問題について考えていきたいと思います。ここでの知識が、あなたのお役に立ちますように。

2019年07月

B型肝炎治療では医師に治療方法のメリット・デメリットを聞いておく

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■B型肝炎治療では医師に治療方法のメリット・デメリットを聞いておく

今でこそインフォームド・コンセントの普及により、患者さんに対して医師はしっかりと治療方針を説明するようになりましたが、昔はそのあたりが実に適当でした。医師は「俺が決めた治療方針だ」とばかりに勝手に治療方法を定め、ろくに説明がなかったのです。また患者さんの側もあまり根ほり葉ほり医師に質問をすると、医師の心象を悪くするのではないかといった懸念があり、あまり強く訊ねることができなかったようです。

ごくごくまれにですが、B型肝炎で悩んでいる患者さんの中にも、医師からこういう指示を受けたと述べられることがあります。

たとえばバラクルード錠です。妊娠・出産を考えておられる女性はバラクルード錠を飲むことは、他の治療の後になります。エンテカビルの副作用により、バラクルードを服用する女性は妊娠・出産ができなくなるためです。このため、たとえば女性の治療に際してはペガシスによるインターフェロンなどが順序としては先になると思われます。

ところが、いきなり医師からバラクルードを飲むようにといわれた方の中には、どうも医師からちゃんと説明を受けていなかった人もいるようです。もしかしたらB型肝炎に感染した相談者ご自身が、医師からの説明を聞き流していかもしれませんが、しかし、これはどうにも危ない話です。

先にインターフェロンを例に挙げましたが、インターフェロン治療も倦怠感や脱毛など、やはり大きな副作用は免れません。

B型肝炎訴訟を考えている方は、同時に治療も受ける必要があります。そのときには、医師からの説明をしっかりと聞き、またメリット・デメリットなどもよく聞いておくほうが良いかと存じます。



■B型肝炎の差別と偏見を生み出す人々

B型肝炎訴訟は非常に専門的な知識が必要になる裁判です。そのため、肝炎訴訟には興味があるけれど、自分の状態が不明なために今一歩訴訟までの踏ん切りがつかないという方もたくさんおられるようです。

漠然とした印象で恐縮ですが、B型肝炎に感染した方は2種類にわかれます。一つは自分の症状をお医者さんから教えてもらった限り、しっかりと自分で調べている方。バラクルードやペガシスの副作用などについてもきっちりと把握していたり、どういう方法で治療を受けるべきか考えている方。そしてもう一方は、自分の病気がどうやらB型肝炎だという程度で放置を決め込んでいる方。

B型肝炎にも色々な感染経路がありますが、訴訟を考えている方は圧倒的に前者が多いです。そして前者と後者の方はまるで人間性が違うことが多いのです。

集団予防接種や母子感染が原因でB型肝炎にかかった方は、人よりも苦しい思いをしています。だから非常に礼儀正しく、まじめで思いやりがあり、とても好感を持てる方が多いです。

逆に後者の方は、言い方は悪いのですが「海外に行ったら病気にかかった。肝炎っていわれたけど、これで訴えればお金もらえるんでしょ」のような人が少なくありません。

B型肝炎感染者にも色々な人がいます。そして性病などで肝炎に感染した人たちは、集団予防接種で肝炎になったり、母子感染で生まれながらに肝炎に感染したりした、本当に性格の良い方々から、どうやらとてもいやな顔をされている感じを受けます。こういう人たちがいるから、B型肝炎の差別と偏見が生まれるからです。

でも、だからといって声高に「B型肝炎の差別と偏見をやめろ」と大騒ぎするのはできれば避けたいところ。感染者の方々はなるべくご自身の病気を社会に知られたくないという思いもよくわかります。

B型肝炎訴訟では、セロコンバージョンでも和解給付は可能

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B型肝炎に感染した方の多くはご存知でしょうが、インターフェロン治療により、予後、セロコンバージョンまでウイルス活動が改善した方はたくさんおられます。


■セロコンバージョンとは

セロコンバージョン(セロコン)について簡単に説明しますと、セロコンとは、HBe抗原がマイナス、HBe抗体がプラスになった状態のこと。

一般的にB型肝炎ウイルスが活動しているときはHBe抗原がプラスになっています。治療や投薬によってこの抗原の活動がマイナスになることで、ウイルス活動は抑止され、肝炎が治まっているのです。


■セロコンバージョンはウイルスが排除されたわけではない

成人後、B型肝炎ウイルスに感染した方でもほとんどが体内から自然に排除されます。万一、急性肝炎か劇症肝炎を発症したとしても、予後は同様に体内から排除されます。

しかし、幼児期の集団予防接種や母子感染の場合、肝炎ウイルスは体内から完全に排除することはできません。インターフェロンなどによって活動を抑止できたとしても、ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変・肝がんなどの発症率はゼロとはいいきれないのです。

ですので、セロコンバージョンになったとしても、定期的な肝炎検査はやはり必要となります。


■B型肝炎訴訟では、セロコンバージョンでも和解給付は可能

まれに誤解される方がおられますが、セロコンバージョンでもB型肝炎訴訟によって和解給付金を受け取ることは可能です。なぜなら上述したように、セロコンバージョンになっても肝炎ウイルスは体内から完全に排除されたわけではなく、定期的な診断が必要になるためです。

B型肝炎感染者の方にとって「セロコンになった」というのは、心から胸をなでおろせるものに違いはありません。しかし、同時に国から賠償される給付金を受け取り、予後にいかしたり、また定期的な検査費用を受け取るのは、B型肝炎に感染した方としてはやはり外してはならない道のり。

また、先に述べたようにセロコンバージョンであっても、慢性肝炎や肝硬変などを発症する可能性はゼロとはいえません。B型肝炎訴訟はただお金を受け取るというだけのものではありません。将来、万一の事態が生じた際、生活や治療の補助となるための側面も担っているのです。

だからこそセロコンバージョンになったとしても、そこでホッとしてしまうだけではなく、B型肝炎訴訟も必ず行っておきましょう。

B型肝炎訴訟におけるジェノタイプ検査費用は後に支給される

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・B型肝炎訴訟におけるジェノタイプ検査費用は後に支給される。 
・B型肝炎の診療で合わない医師は変えた方が良い 


■B型肝炎訴訟におけるジェノタイプ検査費用は後に支給される。


B型肝炎訴訟において、まだ明確に症状がわかっていない場合、ジェノタイプ検査をはじめとする肝炎検査が求められることがあります。

ジェノタイプの検査費用は大まかに1回2万円弱と高額。これを理由に肝炎訴訟を敬遠しがちな感染者の方も中にはおられるようです。

しかし、この検査は重要で、たとえジェノタイプがAeであったとしても、慢性肝炎や肝硬変などの明確な症状が顕著であれば、提訴の可能性もあります。

また何よりも知っておきたいところとして、ジェノタイプを始めとする各種の肝炎検査の費用は、因果が証明されれば、後に国から支給されます。

このため、肝炎訴訟において検査費用については実際には心配する必要がありません。

B型肝炎訴訟は「訴訟」とは銘打っているものの、あくまでも国からの救済措置。必ず行っておくことをおすすめします。

以下は国税庁のB型肝炎訴訟についてのウェブサイトからの抜粋です。


1 当該和解対象者が慢性肝炎の発症を確認するため、所定の定期検査を受けた際の検査費用及び初・再診料に係る費用

2 当該和解対象者が子を出産した場合にその子に対するB型肝炎ウイルスの母子感染を防止するために実施する所定のワクチンの投与等及び検査費用並びに初・再診料に係る費用

3 和解成立後に新たに当該和解対象者の同居家族になった者(前記2の子を除く。)に対するB型肝炎ウイルス感染を防止するために実施する所定のワクチンの投与及びこれに附帯する検査が行われた場合のその投与及び検査費用

4 前記1の定期検査を受けるための交通費その他の費用として、年2回を限度として定期検査1回につき1万5000円


母子感染、父子感染及びジェノタイプに関する検査費用の支払

1 原告の父親及び原告の各B型肝炎ウイルスの塩基配列検査結果を用いて因果関係を判断した場合には、国は、6万5000円を当該検査等に要した費用相当額(父親の血液検査費用を含む。)として支給します。

2 原告の母親及び原告の各B型肝炎ウイルスの塩基配列検査結果を用いて因果関係を判断した場合には、国は、6万3000円を当該検査等に要した費用相当額として支給します。

3 B型肝炎ウイルスのジェノタイプの検査結果を用いて因果関係を判断した場合には、国は、検査の種類に応じ、以下の金額を検査費用相当額として、支給します。


検査の種類 1件当たりの支給額

HBVジェノタイプ判定検査(社会保険の給付がある場合) 2300円
HBVジェノタイプ判定検査(社会保険の給付がない場合) 8500円
HBVサブジェノタイプ判定検査 15000円


■B型肝炎の診療で合わない医師は変えた方が良い


B型肝炎訴訟を行う際、病院での検査が必要になることがあります。またB型肝炎の感染が発覚したときにも、医師から説明を受けることでしょう。

感染が発覚した後、医師の対応は本当にまちまちです。「肝炎ですね。薬を飲み忘れないように」とあっさりいうだけで話が終わってしまい、大した病気ではないんだと長年放置していたという感染者の方がいます。

良い病院を紹介してくれたり、もしくは肝臓専門病院の医師だったりすれば話は簡単ですが、中には「本当に集団予防接種なの?」とか「母子感染なの?」と疑ってかかる医師も実は相当数存在します。

このとき、たとえば「海外で性交渉した?」とか「風俗に何回くらい行った?」などと気分が悪くなるような質問をされる人もいるかもしれません。

あまり良い内容ではありませんが、医師としては疑ってかかるくらいの質問を繰り返さないと国による集団予防接種の結果、B型肝炎に感染したとはなかなか認めないこともあるようなのです。

ただ、実際に集団予防接種によってB型肝炎に感染したと感染者本人は思い込んでいても、実は海外で性交渉をした結果、感染した可能性だってないわけではありません。

ですので、医師と色々話をする中で大事なのは、人間的・性格的に合う医師かどうかということです。信用できないようであればセカンドオピニオンをつけたり、あまりにも自分と合わない人だと思ったのであれば病院を変えたりするという選択肢もあることを忘れないようにしてください。

B型肝炎ウイルスのワクチンは公費で摂取が可能

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B型肝炎ウイルスのワクチンについては公費にて摂取が可能です。

以下はNHKニュースよりの引用です。

B型肝炎ワクチン 公費接種へ

B型肝炎を予防するワクチンについて厚生労働省は、公費で接種が受けられるよう制度を見直す方針を決めました。

これは15日開かれた厚生労働省の「予防接種・ワクチン分科会」で決まりました。 B型肝炎はウイルスに感染して体内にウイルスを持ち続けるキャリアになると、肝臓がんや肝硬変に進行するおそれがあり、特に乳幼児の頃に感染するとキャリアになりやすいと指摘されています。

分科会では、B型肝炎に感染している15歳未満の子どもは4000人に1人程度と推計されるという、厚生労働省の研究班の調査結果が報告されました。

そのうえで、「日常生活で感染する可能性は低いものの、唾液や汗などの体液から感染する可能性が完全には否定できない」などとして、公費で接種が受けられる定期接種にB型肝炎のワクチンを追加すべきだという意見で一致しました。

これを受け厚生労働省は、早ければ再来年度・平成28年度にもB型肝炎のワクチンを公費で受けられるよう制度を見直す方針です。

ワクチンの接種は1歳までの間に3回行われる見通しで、原則として費用は国と自治体が負担するということです。

B型肝炎ウイルスとワクチン B型肝炎ウイルスに感染すると、一部の人はキャリアと言われるウイルスを体内に持ち続ける状態になり、このうちおよそ10%の人が慢性肝炎を発症、肝硬変や肝臓がんに進行する危険性が高くなります。

特に3歳未満の乳幼児はキャリアになりやすいことが分かっていて対策が重要です。 日本では昭和61年から、キャリアの女性から生まれた赤ちゃんにはB型肝炎のワクチンを接種する対策などが行われ、母子感染は減ってきました。

ところが、その後厚生労働省の研究班が行った実験で、唾液や涙、汗を介しても感染することが分かりました。

乳幼児が感染したケースでは、父親からの感染や保育園など集団生活の中で感染したケースも報告され、すべての赤ちゃんにワクチンを接種する必要性が指摘されていました。

しかし、ワクチンの接種には3回で1万5000円程度の費用がかかります。

B型肝炎に詳しい筑波大学小児科の須磨崎亮教授は「ワクチン接種で30年以上、B型肝炎から身を守れるので、すべての赤ちゃんが無料で接種できるよう国は着実に財源を確保してほしい。ただ定期接種になるまで接種を控えることはせず、今の0歳児などは推奨されているスケジュールに沿って接種してほしい」と話しています。(引用終)


上記における対応はけっして早いものとはいえません。実際、ここに至るまで、集団予防接種によって女性がB型肝炎ウイルスに感染していたものの、当人は無症候性キャリアとして感染に気づくことなく結婚・出産。結果、母子感染を起こしたというケースもあります。

これはつまり、国の集団予防接種によるB型肝炎は一般的に知られていないばかりか、ときには感染している当人すら気づかないというケースも少なくないのです。

当然、これらB型肝炎は周知徹底をしなければなりません。しかし同時にあまりにも国による集団予防接種での感染を社会にアピールすると、今度は偏見や差別が問題となる可能性も否定できないのです。

記事中では母子感染を防ぐ意味を込め、昭和61年よりキャリアである女性(母親)から生まれた子どもには公費でワクチン接種を行ったとあります。しかし、公費によってB型肝炎の予防接種はもっと早めに行うべきでした。

そもそもB型肝炎訴訟は、国による集団予防接種と肝炎との因果を主張した原告に対し、国側は最高裁まで争った事件です。国側が落ち度を認めなかったばかりに対応が後手に回った結果、肝炎による二次被害で苦しんでいる人は今も大勢いることでしょう。

B型肝炎の基礎知識9

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■B型肝炎と入院


軽度の肝硬変や初期の肝がんなど、生活できる程度の症状であっても、入院をする必要が出てくることもあります。そこでここでは入院生活に必要なものを記載します。

重い病気であれば黄疸などを伴って、身体がだるく、かゆみが出たりするために、最低限の生活必需品などで良いのですが、それでも入院時にはときに思わぬものが必要になることも。

入院時は一種の長期旅行です。思った以上に色々なものが必要になり、入退院のとき、びっくりするくらい持ち込み用品が多くなることもあるでしょう。最低限必要なものに関しては病院から指示を受けますが、それ以外は下記を参考に、ご自分の生活に合ったものを用意しましょう。



最初に必ず準備するもの

・入院申込書
・健康保険証
・診察券
・印鑑
・保証金(最初に数万円の保証金が必要な病院もあります)

上記は絶対に必要になるもの。これらを用意しないと入院できず、取りに戻ることになります。最初に必ず用意しておきましょう。


病院から必ず指示を受けるもの

寝間着 パジャマ(寝間着)は2~3着ほど用意しておきましょう。2着でもだいじょうぶですが、万一汚してしまった場合にも備えて、3着あればまず安心です。

下着・靴下・シャツ 下着は5~6枚は用意しておきましょう。下着は毎日変えるものです。汗で濡れたり、汚してしまったりすることもあります。洗濯できないこともあるかもしれません。

ジャンパー・ショールなど 寒いときに少しはおるものがあると便利です。

タオル 小さめのスポーツタオル 枕に巻いたり、汗をふいたりなど使うことが多いものです。2枚といわれることが多いかもしれませんが、こちらも3枚程度あれば便利でしょう。

バスタオル 概ね2枚を用意といわれることが多いです。

洗面器 身体が思うように動かないときなど思わぬ事態のときに使うこともあります。

洗面具 こちらは必ず携行するもの。歯ブラシ・歯磨き粉・シャンプー・リンス・ボディソープ・くし・ブラシなどです。

マグカップ 湯のみといわれることもありますが、割れにくいマグカップを用意すると便利です。

スリッパ・ハンカチ・ティッシュ


病院から指示されにくいがあると便利なもの

・ノートPC 使えない病院もありますが、あるとやはり便利な万能機器です。また通信はできない病院がほとんどです。事前に病院に訊いておきましょう。

・携帯電話 原則病院内では使えません。それでも病院の入り口などで使うことも多いでしょう。

・テレホンカード 家にあれば持っていきましょう。なくても病院で買えることが多いです。

・イヤホンとラジオ 時間があるときに使うと暇つぶしになることが多いです

・プラスチックの小物いれ 間に仕切りがあるものを用意すれば薬をしまっておくこともできます。

・消臭スプレー 病院内では悪臭がすることがまれにあります。また、トイレ使用後のエチケットにも使えます。

・筆記用具

・洗濯バサミ 忘れがちですが、ほぼ必ず使うものです。

・目覚まし時計 小型の安価で丈夫なものを用意しましょう。


上記の多くは病院の購買で購入することもできます。しかし体調が悪いときには身体を動かすのもおっくうになるかもしれません。事前に準備しておくに越したことはありません。この他、個人で時間を潰せるものも用意すべき。本や簡易なゲーム、雑誌なども用意しておくと便利です。