■B型肝炎ウイルス検査について


B型肝炎ウイルスに感染したかの検査のためには、最初にHBs抗原の血液検査を行います。検査結果としてHBs抗原の陽性反応が出た場合、ウイルスに感染しています。

B型肝炎ウイルスに感染していることがわかったのであれば、次に肝炎の強さや感染力などを調べるためにHBe抗原、HBe抗体を調べます。抗体が陰性の場合、ウイルスの増殖力が強いため、肝炎が重くなる傾向にあります。逆に抗原が陰性で抗体が陽性であれば増殖力はあまり強くありません。ただし、これは必ずしも予想どおりの結果になるわけではなく、肝硬変や肝がんなどを引き起こすこともしばしばあるため注意が必要です。

B型肝炎ウイルスの量を数値化したものにHBVDNAがあります。HBVDNAはB型肝炎ウイルスの遺伝子のことであり、感染者の血液を採取して検査を行います。DNA中に含まれるDNAポリメラーゼやHBVDNAの数値によってウイルスの量が特定できます。ただし、この数値が非常に低いものであっても、大抵の場合、ウイルスが肝臓に潜んでいるため、安心してはいけません。

なお、B型急性肝炎を発症した人はHBs抗体が陽性となります。この場合、以降、B型肝炎ウイルスが体内に入っても抗体によってウイルスが排除されるため、肝炎が発症しません。



■B型肝炎ウイルスと肝機能検査

肝機能検査は急性肝炎もしくは慢性肝炎の発症の有無、発症している場合、その肝炎の状態を調べるための検査です。

肝機能検査は血液検査であり、AST (GOT)/ALT (GPT)の数値を調べます。急性・慢性肝炎であればAST (GOT)/ALT (GPT)は高値を示します。数値が高いと肝炎の症状は悪化しているといえるでしょう。また慢性肝炎の患者の数値が高いまま長期にわたると、慢性肝炎が肝硬変へと進行してきます。

また肝機能検査では血清ビリルビンの値も調べます。肝炎・肝硬変によって肝機能が低下すると黄疸の症状が現れます。血清ビリルビン値はその指標となります。

なおB型肝炎ウイルスに感染して慢性肝炎となった患者の場合、大抵は複数回の急性憎悪を発症しています。その結果、若くして肝硬変になっていることも少なくありません。



■B型肝炎ウイルスと肝生検について

B型肝炎に感染すると慢性肝炎もしくは肝硬変を発症する可能性があります。そのような患者に対して肝炎の進展を調べる必要が生じることが少なくありません。このときに用いられるのが肝生検です。

肝生検は腹腔鏡や腹部の超音波装置を用いて肝臓の組織を採取します。慢性肝炎は程度の軽重に大きな違いがあるため、検査は細密なものとなります。